【兵庫支局】明石市大久保町の東江井地区営農組合(ア野和幸組合長=68歳、組合員87人)では、市民農園の運営や機械の共同利用のほか、ヘアリーベッチを緑肥として、化学肥料と農薬の使用を削減した米作りに取り組んでいる。 東江井地区営農組合は、県加古川農業改良普及センターの呼びかけで、2010年秋にヘアリーベッチを試験的に導入、翌年本格導入した。現在は約10fで栽培している。 「ひょうご安心ブランド農産物」認証取得 減化学肥料を実践 雑草抑制にも効果 ヘアリーベッチはマメ科の一年草。根に共生する根粒菌が空気中のチッ素を取り込むため、田植え前に土にすき込めば化学肥料の使用量を抑えられ、雑草抑制効果もある。 ア野組合長は「以前は堆肥やレンゲを有機肥料として活用していたが、堆肥は畜産農家の減少で入手しづらくなり、レンゲは連作障害やアルファルファタコゾウムシの被害があり、収量が期待できなかった。普及センターの呼びかけでヘアリーベッチを導入した」と経緯を明かす。さらに「当初は生え方のばらつきや播種後の鳥害に悩まされたが、普及センターの指導で生え方がまばらで肥効が低いところに肥料をまいたり夕方に播種するなど対策に取り組んできた」と続ける。 地元JAがブランド化 ヘアリーベッチを緑肥として使用し、減農薬減化学肥料で栽培した「ヒノヒカリ」は、12年10月に「ひょうご安心ブランド農産物」として県の認証を受けた。地元のJAあかしで、「花美人」というブランドで売り出している。さらに14年からヘアリーベッチを緑肥に栽培した酒米で地元の酒蔵会社・太陽酒造が日本酒を醸造。「天狗松」という名称で太陽酒造が販売している。 養蜂家と採蜜体験も またヘアリーベッチがハチの良質な蜜源であることに着目し、養蜂家と提携して地域住民などを対象に蜂蜜採取体験を実施、好評を博している。 県加古川農業改良普及センターの初田(はった)いづみ普及主査は、「冬が温暖な東播磨地域はヘアリーベッチの活用に適した環境。緑肥を元にしてできた農産物を多くの人に味わってもらいたい」と話す。 (松本淳也)