放棄田解消へ法人化 積極的に生産基盤を保全 【兵庫支局】「組合員全員が関心を持って作業に参画してもらうことが農地維持につながる」と話す、三田市十倉地区の農事組合法人十倉営農組合(構成員29人)の坪之内好和(つぼのうちよしかず)代表理事。組合の管理面積は約22fで、水稲「コシヒカリ」「ヤマフクモチ」を15fのほか、麦やソバ、黒大豆、白大豆などを栽培する。組合の設立は放棄田を無くすことと効率的な農業を目指した結果という。 組合の維持には農産物生産だけでは成り立たない現状に直面し、法人化を図り、中山間地域等直接支払制度や多面的機能支払交付金などに参画した。放棄田対策としてソバ生産を行うほか、ため池や用排水、農道の整備などに取り組み、農地環境の保全に努めた。 十倉地区は2014年、県土地改良事業団体連合会から「みどり豊かなふるさと大賞」の「委員長賞」を受賞。さらに、黒大豆でひょうご安心ブランド農産物を取得し、エコファーマーの認定も受けるなど農産物のブランド化にも積極的に取り組む。 黒大豆オーナー制 都市住民と交流 こうした活動とともに、都市部の人に向けて黒大豆のオーナー制度を約16eで実施。 子供向け職業体験型テーマパークのキッザニア甲子園や米などの販売会社・叶_明と協 力して、神明社員や子供を対象に農作業体験を受け入れている。苗の手植えや生育状況 確認を兼ねた草取り、鎌を使った刈り取り作業を行い、農業に触れてもらう。また、地元の高平小学校の2年生、5年生の農作業体験も受け入れ。取れたもち米で年末に餅つきをして、地域交流に一役買っている。 「収穫を楽しみにされている畑を、近年多いシカなどにやられるわけにいかないので、管理はとても大事。大変だが、参加者のうれしそうな声や表情が励みになる。農作業体験に参加する子で、一人でも農業に興味を持ってくれたら」と坪之内代表理事。今後は「現状をしっかりと維持して、収益が上がるようにしていきたい」と意欲的に話す。