「試行錯誤中ですが、無農薬、無化学肥料で栽培する農法を確立したい」と話す大前さん夫婦。 昨年8月に上郡町黒石地区で新規就農した直也(なおや)さん(30)と妻のまどかさん(29)は、標高が400b近くある畑でタマネギやシイタケ、トマトなどの露地野菜を栽培し始めた。 同地区は、直也さんの祖父が畑作業を行ってきた場所で、直也さんも幼い頃から手伝ってきた。「せっかくの畑を自分の代で荒れさせてしまうのはもったいない」との思いから畑を引き継ぎ、就農することを決意した。 「自宅から畑まで距離があるなど不便な面もあるが、麓の畑と比べると、3〜4度気温が低いため、同じ種類の野菜でも時期をずらして出荷できるのが最大の強みです」と直也さん。 野菜作りで一番大切にしているのは、「子供たちに安心して食べさせることができる野菜であること」。そのため、極力農薬や化学肥料を使用しないように努めており、3人の子供たちも大前さん夫婦が作った野菜を喜んで食べている。「子供たちが喜んで食べる野菜なら、消費者にもきっと喜んでもらえるはず」との思いで励んでいる。 光都農業改良普及センターの大中普及員は、「まずは経営の確立に努めてもらい、ゆくゆくは、地域の担い手となれるように頑張ってほしいです」とエールを送る。 「将来的には露地野菜の規模拡大やハウスでの施設野菜の栽培、冬物野菜などにも挑戦し、一年を通して野菜を出荷できるようにしたい」と話す直也さん。まどかさんも「子供たちが農業に関わる機会が減っているので、親子で野菜の植え付けから収穫までを体験できる農園を開園してみたい」と共に新たな活動にも意欲的だ。。