丹波市の汲ワるきん農林(堀金吾代表取締役、76歳)では、水稲13fの栽培を中心に、10fの水稲作業受託や水稲育苗のほか、米や肥料などの販売を手掛け、一年を通じて収入のある経営を目指す。同社は圃場の大半を事務所から見える範囲に集約することで、移動時間の短縮や生育状況の把握を容易にし、作業の効率化を図っている。また、市内の60軒で構成する「まるきんグループ」の窓口となり、栽培基準をそろえ、品位検査を行った米を京阪神を中心に北海道から沖縄まで販売している。昨年11月に山形県で開かれた「第9回あなたが選ぶ日本一おいしい米コンテスト飴庄内町」では、同社の「コシヒカリ」が最優秀金賞を受賞した。このコンテストは、機械判定を行わず審査員が実食して選考するため、米作りに一層自信を持つことができたという。「今後も米をはじめ、丹波で栽培される農産物の良さを発信していくと同時に、魅力ある農業・会社づくりに力を注ぎたい」と堀謙吾専務(48)は話す。
たつの市揖保川町河内地区の7自治会長が中心となり、地元の農産物の販売促進と生産拡大を目指し、2006年に直売所「新鮮組こだわり隊」を設立。現在、運営に関わる会員は110人を数え、日・水・金曜日の週3回営業し、多くの新鮮組ファンが通う。「この直売所の売りは、半世紀もの歴史がある揖保川トマトが一年中購入できることです」と話す代表の横田正和さん(70)。季節の野菜や果物、加工品のほか、同市御津町の「室津ブランドの鮮魚」も人気だ。新鮮組こだわり隊は、直売所運営だけにとどまらず、13年に「たつの市自立のまちづくり事業」の一環として、高齢者の見守り活動を兼ねた食料品の無料宅配サービスを開始した。14年には移動販売をスタートしたところ、買い物に出にくい高齢者から好評を得ている。さらに、15年からは商品の鮮度を保つために保冷車を導入するなど、直売所の枠を超えて日々発展し、地域に貢献している。