地域で大切に受け継がれている在来種の野菜栽培に取り組むのは、姫路市の「有機農園ばんごんじんじい」の神ア一馬さん(38)。5年前に就農した際、祖父が大切に自家採種で作り続けてきた野菜の種を分けてもらったのがきっかけで、自身も自家採種に力を入れる。収穫後の野菜から種を採取し、50eの畑でダイコンやカボチャなど少量多品目の野菜を栽培する。「自分が気に入った野菜から種を採取し、選別した種で畑が自分の色になるのが面白い」と笑顔で話す。神アさんが加入している若手農家グループ「HANDS」の鈴木広志さんは、神アさんの野菜には魅力的な物語があり、私も影響を受けて自家採種を始めました。さまざまな伝統野菜を作り続けるには忍耐が必要だと思いますが、新たな発見を求めて走り続けてほしいです」とエールを送る。神アさんは「特別なことは何もしていません。種は土地の歴史や特性が詰まった貴重な資源です。この種を次世代につなぐことが私の役割です」と話す。