「品質管理や収入面などの苦労も多いが、家族とともに栽培・販売方法を試行錯誤しながら収穫できた時は感動しました」と話すのは、猪名川町の水谷翔一さん(27)、智暁さん(32)夫妻。イチゴ7eと水稲10e、ナス5e、ダイコン5eの栽培に取り組む。イチゴ農家で研修中だった翔一さんとイチゴ狩りに来ていた智暁さんがイチゴを通じて意気投合し、結婚。2014年からイチゴ農家として独立した。「章姫」や「紅ほっぺ」など数種類のイチゴを栽培し、主な出荷先の「道の駅いながわ」で大きさと甘さで人気が出始めている。電照高設栽培の導入やジャムなどの加工品製造を目指し、収入が安定するよう努力している。「イチゴの魅力を伝えていき、次の世代がイチゴ栽培を目指すきっかけとなるような農家になりたい」と翔一さんは目標を話す。
西脇市ではイチゴの特産化や新規就農者、定住者の増加を図るため、スイーツファクトリー(新規就農者実践農場)支援事業を2014年度から始めている。同事業は、栽培用ハウスなどを研修生に無償で貸し出し、約2年間の研修を行う。講師として、地元でイチゴ栽培の先駆者の篠田重一さん(67)に指導と支援を依頼している。1期生は、他の就農研修施設で農業実習を受けていた永原弘志さん(36)と、農業大学校で1年間農業を学んだナイジェリア出身で元プロサッカー選手のエムヒア・マルコス・ガビーさん(48)の2人。消費者から「『とってもおいしい』と言ってもらえるときが一番うれしい」と永原さん。「紛争のない平和な日本で農業をするようになってから、人生が楽しくなった」とガビーさんは話し、2人は栽培技術の習得に余念がない。