産地直売かかしは2003年3月から運営を始め、淡路島に訪れる観光客だけではなく、地元住民が買いに来るほど人気がある。店頭には、近隣農家から直接仕入れた朝取れ野菜などが並ぶ。直接仕入れることで、運搬などの余計なコストがかからず、消費者へ安価で販売できる。また、藤江さんも店の周辺に農地を借り、農産物を栽培。取れたてを販売している。店は、店主の藤江さんの他、妻とパートの3人で交代しながら切り盛りしている。店で扱う商品は、淡路島の特産品のタマネギをはじめ、多彩な野菜類、淡路産米などで、季節に応じてタケノコや山菜も販売。食料品以外に、しきびや造花も取り扱うことで地元の利用者も多くなり、地産地消に貢献している。店に出荷する農家は小規模経営の人が多く、農産物の販売場所を提供することで、農家の耕作意欲が高まり、より多くの農産物を栽培してもらえる。その結果、地域の耕作放棄地解消にも一役買っているという。出品している農家は「売れることがうれしいです」と話し、農地を貸している農家は「農地の維持管理をしてもらえる」と喜んでいる。安全・安心を購入者に伝えるため、生産者の顔がわかるよう店内に生産者の顔写真を提示するなど工夫を凝らす。最近ではタマネギなどの収穫体験を実施し、まったく農業をやったことのないという都会の参加者からは「農業体験が新鮮だった」と好評だ。PRにホームページを活用している。農産物を全国発送するなど、淡路島の魅力を発信している。「最近はコンビニなどの調理済みの商品が増えて便利になっているが、産地直売は地域に密着し、新鮮さを特徴としています。購入者には、ここの食材を使って調理するおもしろさを実感してもらい、興味を持ってもらえれば」と藤江さんは話す。