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家畜飼育アドバイス

獣医師からのアドバイス等

■先手必勝 牛の暑熱対策

5月初夏のさわやかな風の中を診療車で走るのは、私たち獣医師にとって至福の時と言ってよいでしょう。舎外の日差しは結構強くても、牛舎内を流れる乾いた風とその乾燥感で牛たちもゆったりと反すうしています。病気を診るのが仕事なのですが、やはり牛がのんびりゆったりと反すうしている景色を見て、そのにおいを嗅ぐ時が「ああっ、この仕事をしていてよかった!」と思える瞬間です。

こんな良い季節に、あの地獄のような猛暑のシーズンを誰が想像するでしょうか?想像できもしないし、しようとも思わないですね。しかし、猛暑は間違いなくやってきます。暑くなってからでは、もう遅い。今のうちにできることからやっておきましょう。

<暑さに弱い高泌乳牛>

乳牛は体の維持に加えて、多量の乳生産を行っています。高泌乳であればあるほど、多くの飼料摂取を必要とし、乳生産と同時に多量の体熱を発生します。体の中で発生する熱を体外に放出しきれなくなると、体温調節がうまく行えず、熱射病が発症します。熱射病になると、牛は疲労、発熱、食欲減退から泌乳量が低下します。

さらに、症状が悪化すると、呼吸数の増加と流涎(よだれ)、重度の脱水症状を起こし、アシドーシスに陥ります。与えられた環境で逃げ場のない牛たちにとって、適切な処置をとってもらわないと、死ぬしかない状況に追いやられるのです。

そうならないために、体熱を放出しやすい牛舎環境をつくること(通風をよくする)と、冷たい水を好きなときに十分飲めるように(給水設備の点検と充実)してやることが必要になってきます。

<できることから>

暑熱対策は、今までいろいろな方法が行われてきています。しかし、大切なのは環境を少しでも改善していくことと、その環境を毎年維持していくことではないでしょうか。

<ファンの掃除・点検>

暑熱対策の第一は、まず牛舎内の通風と換気です。最近ではその重要性も十分に認識されてきて、かなり大型ファンが普及してきました。しかし、せっかく設備投資した大切なファンも、久々に稼動したとたんに使用不能なんてことではがっかりです。 シーズンが始まる前に、埃を落とし、鳥の死骸など障害物がないか確認し、電気系統の具合もチェックしましょう。ベルトの張り、給油などの点検も必要です。ファンも掃除をすることによって、風量も含めて効率がアップします。

<粗飼料をたっぷり>

一般に粗飼料の給与量は、体重の約2%といわれます。つまり、体重600kgで12kgの粗飼料を給与するのが目安です。しかし、実際これだけの粗飼料を給与している方は少ないのではないでしょうか? それでなくても、暑熱期には、粗飼料の食い込みが落ちます。ですから、暑くなる前に、少しでも多くの粗飼料を食べることのできる胃袋(ルーメン)をつくることを心がけましょう。餌がなくなっていることに気が付いたら、粗飼料を足してやりましょう。いつでも、少しでもよいのです。「牛が腹をすかせているのでは?」といつも気にかけてやりましょう。

いくら万全な胃袋でも暑くなると食い込みが落ちます。そのとき、できるだけ嗜好性の良い粗飼料を用意しておきましょう。それでも駄目なときは、粗飼料の食い込みが落ちた分だけ濃厚飼料の給与量も減らしてやることも必要です。

<牛体毛刈りで体熱放散>

体熱放散を最も身近なところから助ける方法です。牛用の大型バリカンを用意して、6月になったら、始めましょう。牛の毛が細かく飛びますので、マスクをして、つなぎ、ヤッケなどで、しっかり自分の体を防御する必要があります。本格的に暑くなると、人の方がやる気がなくなりますので、計画的に6月中に終えましょう。暑さが本格的にならないうちから暑熱ストレスを減らしておくこと、これも大切な暑熱対策です。

<十分な飲み水を>

 「牛は水が十分に飲めないと、それ以上水を飲むのをあきらめる」といわれています。そして、「1回当たり約5リットルの水を一気に飲み、暑熱期、高泌乳牛ならば1日約120リットルの水を飲む」そうです。それに、牛は人よりずっとにおいに敏感ですから、きれいな水を欲しがっています。

常時ウォーターカップや水槽の点検・掃除を忘れないようにしましょう。

また、給餌直後には飲水が集中しますので、十分な飲水ができないと、水が飲めないままあきらめてしまう牛もいます。ウォーターカップの給水量をアップするには、横配管の径を太くして貯水タンクの役割をさせ、給水をスムーズにするために、吸排気弁をつける方法もあります。

毎日の作業に追われて、シーズンごとの作業はおっくうになりますが、逃げ場のない牛たちに快適に過ごしてもらうために、年に一度の作業も忘れないようにしましょう。

毛刈り後の牛
配管の径を太くした牛舎
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