
兵庫県農業共済組合連合会
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特 集
NOSAIの家畜共済
これだけはやってみよう!分娩・出生時の管理
NOSAI兵庫・家畜部臨床研修課長 荻野 好彦
近年、飼料価格が高騰し酪農経営を圧迫しています。胎子や子牛の死亡による酪農家の損失は大きく、管理技術の向上が求められています。2006年度乳用牛胎子引受頭数2万2676頭のうち死亡事故は1530件、6.7%という高い事故率でした(グラフ参照)。「その他胎子異常」いわゆる死産が圧倒的に多いことが分かります。そのほとんどは、酪農家が分娩に立ち会っていない事例でした。分娩は誰もが大事なことだと分かっているはず。これから仕事をしてもらう時期に母牛や子牛を弱らせてしまうと大変です。そこで分娩から出生、哺乳期に至るまでの留意点を紹介します。
〇母牛の管理―母牛を安心させよう
乾乳期のボディコンディションの増減は禁忌!高単位ビタミンD3を分娩前に必ず注射します。母牛にストレスを与えないように、安心して寝起き(=採食行動)できるようにしましょう。
@厚手のゴムマットを敷く(牛が楽になります)Aたっぷりの敷ワラB尿溝にフタC滑走予防にスプリット・ストップなどの足かせを産前から装着(酪農家の必需品、成牛20頭に1本以上は持っておきましょう)―ぬれた薄っぺらなゴムマットやコンクリート床などは、牛にとって、ヒトが木靴を履いて氷の上に立たされたも同然。牛の気持ちを理解しましょう。
〇分娩予定日を把握しよう
出生した子牛の管理を徹底するためにも分娩にはできるだけ立ち会うようにしましょう。 「牛名板」(写真1)などに分娩予定日を記入し、誰が見ても分かるようにしましょう。体温測定による分娩予知を実施してもよいでしょう。
〇分娩介助は焦らず、慌てず、丁寧に
分娩で最優先させるべき問題は、母牛と子牛の健康です。介助を急ぎ過ぎることは絶対に避けなければなりません。特に初産牛では禁忌です。分娩での無理は母牛の周産期病発生の大きな原因になり、胎子は人為的難産によりアシドーシス(酸性血症)に陥り衰弱してしまいます。
〇不潔なお産は繁殖障害の原因
子宮炎の予防(=繁殖障害の予防)のため、適切な濃度の消毒薬をたっぷり用意し、外陰部周辺および手指を充分に消毒します。介助中にふん便で汚染したら何回も洗浄するようにしましょう。
〇無理な人口破水は難産の原因に
産道が充分に開いていない場合は、絶対に人工破水しないようにします。お産を焦り、無理に破水させると以後の陣痛が弱くなり、難産の原因となります。
〇快適な子牛部屋の準備を
子牛部屋(できればカウハッチ、写真2)は換気良く、湿気の少ない場所に設置します。十分できれいなわら、乾草を入れてやりましょう。おがくずは吸入性肺炎の原因に、もみ殻は消化されず消化管内で栓塞することがありますので避けたほうがよいと思います。
寒さに弱い交雑種子牛(F1)、黒毛和種ET子牛には保温装置を用意しましょう。
〇呼吸を確認し、マッサージしましょう
口、鼻腔内の羊水を除去します。呼吸が不十分な場合は後肢を持ち、逆さにつるして羊水を除去し、人工呼吸してやります。羊水を十分にふき取りマッサージすることは、子牛の新陳代謝を活発化し、呼吸改善(=充分な哺乳)につながります。次に臍帯(へそのお)を消毒し、丁寧に準備されたきれいな子牛部屋に移しましょう。
〇初乳給与の基本
初乳は、なるべく早く飲ませるようにしましょう。初乳給与が30分遅れるごとに、病原菌に対する抗体の吸収は約5%ずつ低下し、24時間経過すると吸収できなくなってしまいます。十分に子牛が免疫を獲得するためには3.8g必要であり、そのためには出生直後に1.9gを、残りの1.9gを4〜6時間後に哺乳させるとよいともいれています。
SA(黄色ブドウ球菌)に感染した乳汁の給与は避けましょう。菌が口腔内にいつまでも残り、その牛が大きくなって自分の乳房を吸ったり、なめたりするとSA乳房炎になってしまいます。初乳製剤あるいは他牛の初乳をあげましょう。
〇大事なスターター
母牛同居の子牛は1日に体重の約25%のミルクを飲むといわれていますが、この量を1日2回の給与で飲ますことは困難です。
そこで1日当り体重の10%に制限することが行われています。そうすると子牛は空腹のためスターターを食べるようになります。
この時期、第一胃絨毛を発達させるのはスターターであり、乾草ではありません。良質乾草でも40〜60日ぐらいまで与えないほうがよいといわれています。しかし、スターターを必要量摂取するまでの生後1、2週間はエネルギー不足(増体及び感染防御力低下)となり、食べさせる努力が必要です。
そのためには、水が重要で1日4回が推奨され、900cのスターターを食べるとき、約3.75gの水を与えなければならないと言われています。
〇哺乳はきれいな器具で
使用後の器具は、ぬるま湯で洗いましょう。お湯が熱すぎると牛乳中の乳タンパクが器具に固着してしまいます。次に、アルカリ洗剤入り50℃以上の温湯で固形分が残らないように洗浄します。
最後に酸性洗剤入りのぬるま湯ですすぎます。乳石などの固着を防ぐため、乾燥時にはこの洗剤が器具の表面に残るようにします。器具やバケツは重ねて置かず、棚などで乾燥させるようにしましょう。 |
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